第33代会長 田 村 寛 仁

先づ以て、謹んで聖寿の万歳と皇室の弥栄をお慶び申し上げますとともに、来たる令和十五年に執り行われる第六十三回式年遷宮におかれましてもいよいよ山口祭、木本祭が執り行われ恙なく進められておられますこと誠に慶賀に存じ上げます。
常日頃より岩手県神社庁様をはじめ、先輩諸兄姉並びに関係各位におかれましては岩手県神道青年会に対し、多大なるご指導とご鞭撻を賜っております事に心より御礼申し上げます。
去る令和六年十二月二日、臨時総会に於きまして、会員の皆様からのご承認を賜り、第三十二代会長の重責を担うこととなりました。
昭和二十四年創立以来、七十六年という長きに亘り先輩諸賢が紡いでこられた志と歴史、伝統の重みに身が引き締まる思いでございます。元々浅学菲才の身ではございますが、会務に全力で取り組み、会員の皆様と共に一丸となって様々な活動に邁進し、斯界の興隆に努めて参る所存です。
さて、長く続いた感染症は、ひとまず落ち着いたかのように思いますが、未だ斯界のみならず、社会へも大きな影響を残したままです。祭礼を始めとした行事も、従来の形に戻りつつあるとはいえ、一度希薄になった他者とのつながりを結びなおすことは簡単ではなく、なかなか以前の形に戻すことが難しいというのが実情のように思われます。
古くは神社や伝統行事を通じて人々が結びつき、地域社会が形作られておりました、人と人とのつながりが希薄になりつつある現代において地域のつながりを強くし、伝統行事ひいては地域社会を存続させるための活動が求められると感じています。
また、国内外の情勢も不安定と言わざるを得ない中、本年は大東亜戦争終結より八十年を迎えます。国のため、そして家族の為に自らの命を賭して出征された数多の方々の思いと苦難、戦地で散華された英霊たち、国柄を守り、焼け野原となった国土の復興に尽力され、更には平和を維持された先人たちの努力、戦火に見舞われることなく平和を享受しておりますのは、数多の努力のお蔭であるという事を、我々青年神職だけでなく、多くの人々にも見つめなおす機会とすべく、靖國神社、護国神社への参拝、各種研修はもとより、対外的な周知活動も進めて参りたく存じます。
令和六年元日に発災した「令和六年能登半島地震」は被災地の道路状況など、様々な点で復興支援活動を思うように展開することが出来ず、忸怩たる思いを抱いています。
そのような中、令和六年五月に先遣隊として輪島市にて被災地支援活動をさせていただきました。その際には岩手県神社庁様のご支援を頂きましたこと改めて感謝申し上げます。平成二十三年の東日本大震災の発災直後、まだまだ余震も頻発する中、一番に支援の手を差し伸べてくれたのは北陸の青年神職の皆様であったと伺っております。そして、全国各地からの手厚いご支援を賜ったことに対する感謝とそのご恩に報いたいという思いは、今なお強く会員一同の中に根付いています。県内においても、ようやく震災から立ち直りつつあった大船渡市を山林火災という災禍が襲いました。簡単ではない復興の道を歩み進める被災地に方々に対し、祈りだけではなく活動を通していよいよ実践に努めて参りたく存じます。
何事も守り伝える為には、行動が不可欠であります。その先端を担うべきは我々青年神職であり、会員一同研鑚を積み、常に課題・問題を見直し、我々にできることは何かを考え、祈りと共に行動に移す「斯界の尖兵」として会務に力を尽くす所存です。
先輩諸賢の皆様におかれましては、今後ともなお一層のご指導を賜りますようお願い申し上げまして会長就任のご挨拶と致します。
(令和7年5月)


